トーナス・カボチャラダムス画伯「かぼちゃな科学」とは

北九州市・門司港在住の画家、トーナス・カボチャラダムス画伯が2018年より執筆をはじめた「素人の素人による素人のためのかぼちゃな科学」は、これまでトーナス画伯のごく身近な方々だけに読まれてきた通信でした。一言一句、鉛筆で丹精に綴った原稿を書き上げたあと、自らコンビニでコピーをし、封詰めをし、郵送するという完全手作業の超希少なお便りです。「ウリ科」つながり(かぼちゃとひょうたん)でご縁のあった瓢箪座にも送っていただいていましたが、なんと6年間で1000ページ近くものボリュームに!しかも書かれている内容が環境、情報、生命、物質、宇宙、植物など広く、驚くほど緻密です。不定期に門司港から続々届く封書の山は、次第にただならぬ厚みと気配を漂わせるようになっていきました。(ちなみに2023年秋現在、執筆は続いています)

自分とは、人間とは、世界とはいかなるメカニズムによって存在しているのか。「かぼちゃな科学」はそうした根源的な問いを立て、ネコチンスキー公爵とトーナス・カボチャラダムスの二人(猫なので二匹)によって、科学的に読み解いていくという、知的でユニークな読みものとなっています。そもそも人類は進化しているのか?世界はどのように成立しているのか?人間を人間たらしめている条件とは?環境とは?…トーナス画伯の描く世界「カボチャドキヤ」にも、「かぼちゃな科学」にも、そのような問いが原点にあります。「かぼちゃな科学」は科学エッセイである前にトーナス画伯の作品にほかなりません。トーナス画伯にとって芸術と科学に線引きなどないのです。

この度、瓢箪座パブリッシング・レーベル「字像舎」の第一弾企画として、ごくごく身近な人しか読むことのできなかった「かぼちゃな科学」をより多くの方にご覧いただけるよう、デジタルブックに仕立ててお届けできることになりました。パソコンやタブレット、スマートフォンからブラウザで閲覧が可能です。生原稿(複製)ですので、推敲の様子や思索の痕跡もご覧いただけます。第1巻は2023年9月刊行、2巻以降も随時刊行します。
販売は「ZIZO BOOKS」にて。

(デジタルブックは、パソコンやタブレット、スマートフォンのブラウザで閲覧可能です)

プロフィール

1944年 鹿児島市生まれ。版画家。画家。
1946年 福岡県門司市に移る。門司市立丸山小学校から福岡学芸大学付属小倉小学校に転入、福岡学芸大学附属中学校、福岡県立小倉高等学校を経て、東京大学理科Ⅰ類入学。この頃より精神に変調をきたし、無為徒食惰眠の日々を送る。
1969年 東京大学文学部美術史専修課程中退、門司に帰って我流でペン画を描き始め、つづいて我流で油絵を描き始める。
1976年 北九州出身の画家・平野遼氏の紹介で大阪フォルム画廊東京店新会場で個展を開く。画廊や平野氏の勧めで銅版画を始める。
その後、展覧会への出品、各地で個展(東京、北九州市、福岡市、大阪市、名古屋市等)、「パロディ関門観光」(西日本新聞)などの連載や挿絵を担当、著作も刊行。
1992年 「かぼちゃの家」着工(1994年完成)
1994年 この頃、トーナス・カボチャラダムスと改名。退化人類研究所カボチャドキヤを設立、主任研究員に就任する。
1999年 「かぼちゃのブリューゲル展」(大阪商船三井船舶ビル、旧三井倶楽部[北九州市]10/22-11/24)、旧門司市制百周年記念として「藤原新也写真展」と同時開催)
2002年 カボチャドキヤ民主主義人民共和国の総書記就任。カボチャドキヤ国立美術館(門司港)館長に就任。
2004年 「トーナス・カボチャラダムスのゆかいな王国展」(北九州市立美術館分館[北九州市]7/31~8/29)
2010年 北九州市立大学公開講座で「かぼちゃな科学 こころの環境論ー私の内と外」をテーマに講話(8/21)。
2018年 雑誌『あいだ』に「かぼちゃな科学」(①~⑧)連載(~2019/1)
2019年 「かぼちゃな科学」⑨~を執筆、配布
2022年 カボチャドキヤ国立美術館閉館(5/5)、20年の幕を閉じる。
2022年 「トーナス・かぼちゃラダムス展」(行橋市増田美術館[福岡県行橋市]7/2~9/4)
     広島大学医学部付属病院YHRPミュージアムに作品寄贈、恒久常設展示。
2023年 「かぼちゃな科学」のデジタルブック化、始まる(瓢箪座 字像舎レーベル)

〈受賞歴〉
1979年 サンシャイン版画版種別グランプリ展(りゅうインターナショナル[東京])銅版画大賞
1980年 第2回北九州絵画ビエンナーレ展(北九州市立美術館[北九州市])優秀賞
1981年 第1回西武美術館版画大賞展 優秀賞(西武美術館[東京])
1985年 北九州市市民文化賞 受賞
1991年 『かぼちゃごよみ』第40回小学館絵画賞 受賞
2005年 福岡県文化賞創造部門 受賞

〈著書〉
『かぼちゃごよみ』(詩・谷川俊太郎)、『迷宮へどうぞ』(文・種村季弘)、『かぼちゃ人類学入門』[いずれも福音館書店]、『空想観光トーナス・カボチャラダムス カボチャドキヤ』、『かぼちゃ大王』[いずれも石風社]などがある。

〈展覧会図録〉
『トーナス・カボチャラダムスのゆかいな王国展』北九州市立美術館(2004/7/31)
『トーナス・カボチャラダムス展』行橋市増田美術館(2022/7/2)